有期社員と正社員との待遇格差(同一労働同一賃金)をめぐる一連の最高裁判決が
本年11月13日と15日に出されました。各判決の結論は以下の通りです。

①大阪医科薬科大学事件…アルバイトへの賞与の不支給は不合理とは言えない(適法)

②東京メトロコマース事件…契約社員への退職金不支給は不合理とは言えない(適法)

③日本郵便事件…契約社員への扶養手当,年末年始勤務手当,夏期・冬期休暇,有休の病気休暇,祝日給不支給は不合理(違法)

③については,例えば,扶養手当は,契約社員にも扶養親族がいて,継続的勤務が見込まれるのであれば支給すべき,とされています。
つまり,各手当の支給目的が契約社員にも当てはまるのであれば,これを契約社員に支給しないことは違法,とされており
格差是正に一歩近づいた判決です。
①,②については,不当な判決です。判決は,賞与や退職金は
A「正社員の人材確保・定着の目的がある」
B「正社員と契約社員等は業務内容が違う」
というものです。
しかし,Aについては,同一労働同一賃金ガイドラインが,主観的又は抽象的な理由での待遇格差は許されないとしていることと整合しません。
Bは,同ガイドラインによれば,業務内容に相違があるなら,相違に応じた賞与や退職金を支給しなければならないとされていることと整合しません。
これらの判決は事例判決であり,契約社員への退職金や賞与の不支給を一般的に適法としたものではありませんので
上記判決の潮流が今後是正されなければなりません。